蘇乘羽は丹薬を調合し終えると、すぐにタクシーを拾って周家へ向かった。
「劉叔母、この三つの丹薬を一日一つずつ服用してください。必ず病気は治り、二度と再発することはありませんよ。」
「蘇神医、命を救っていただき、ありがとうございます。晋平があなたのような方と友人になれたことは、私たちの幸せです。」
劉婉琴は涙を流しながら感謝し、丹薬を慎重にしまい込んだ。
「蘇さん、先日の息子の件について、改めてお詫び申し上げます。あの不肖者は県の支店に異動させましたので、もう二度と面倒を起こすことはないでしょう。よろしければ、一緒に食事でもいかがですか?」
周朝明が言った。
蘇乘羽が手を振って断ろうとすると、周晉平が「羽兄、わざわざ来ていただいたんだから、一緒に夕食でもどうですか。僕たち兄弟、まだ一緒に酒を飲んだことがないでしょう。」
「そうですね。今日は多めに飲んでもらいますよ。」蘇乘羽は承諾した。
周晉平が自ら運転し、父子で蘇乘羽を飲食店に案内した。道中、蘇乘羽は蘇笑笑に電話をかけ、自分を待って夕食を取る必要はないと伝えた。
東陵大飯店は霖江でとても有名で、高級料理店として知られている。蘇乘羽もよくここで食事をしていた。
周朝明が個室を予約し、到着すると東陵大飯店の店主が自ら個室まで足を運んできた。
「周支店長、しばらくご無沙汰でしたね。」店主の徐陵山が言った。
「最近は忙しくて。」
「周奥様が重病だとお聞きしましたが、お具合はいかがですか?」徐陵山が尋ねた。
「もう完治しました。ご紹介しましょう。こちらが蘇乘羽、蘇神医です。家内の病気は、蘇神医の妙手回春のおかげで治りました。こちらが東陵大飯店の店主、徐陵山です。」
周朝明が紹介した。
劉婉琴の病気は不治の病とされ、治療法がないと判断されていたが、徐陵山はこの若者によって治療されたと聞いて、大変驚いた。
「蘇さんはこれほど若くして神のような医術をお持ちとは、徐それがしも感服いたしました。」
徐陵山は抜け目のない人物で、周朝明の言動から蘇乘羽への敬意を感じ取り、少しも軽視することはなかった。
蘇乘羽は徐陵山と握手を交わし、「徐社長、ご商売繁盛を。」と言った。