龍魂司部で、葉青瓷は石剣鋒のオフィスに行かず、石剣鋒は彼女の後ろをついて行き、相変わらず恐れおののいていた。
「黒狼妖人が霖江方面に逃走したのには、必ず理由がある。人手を増やして、霖江周辺を徹底的に調査せよ。他の妖人の痕跡もありそうだ」
「承知いたしました。聖使様、ご苦労様でした。すぐに宴席を設けて、聖使様をお迎えいたします」と石剣鋒は言った。
「必要ない!」
葉青瓷は冷たく言い放ち、右手を振ると、長剣が宙に浮かび、葉青瓷はその剣の上に飛び乗り、風に乗って去って行った。
「御剣飛行!伝説の御剣飛行だ!大司馬、この聖使様は、修真者なのですね?」
龍魂司使たちは葉青瓷が御剣で飛び去るのを見て、一同感嘆の声を上げ、新たな尊敬の念を抱いた。
「大げさな!白衣斬妖使は斬妖司の最強の存在だ。少なくとも武聖の境地に達しており、武学は超凡入聖の域に達している。飛剣で空を飛ぶなど、ただの基本的な技に過ぎん」
石剣鋒は話しながら、こっそりと額の冷や汗を拭った。葉青瓷の前では、大きな息すら出来なかったのだ。
彼は今日、十二白衣斬妖使の中の寒月聖使が来てくれて良かったと思った。寒月聖使は性格が冷たく、妖を斬るだけで俗事には関わらず、龍魂司に干渉することも、彼らと争うことも潔しとしなかった。
もし今日来たのが赤炎聖使だったら、彼の策略が見破られて、命さえ保てなかっただろう。
石剣鋒は今日自分が生き残れたのは、本当に運が良かったと感じ、心にはまだ恐れが残っていた。
「大司馬、華展堂若司馬はどうしましょう?気を失ったままです」と一人の龍魂司使が尋ねた。
「医務室に運び、命だけは助けて、それから師門に送り返せ」
華展堂は廃人となり、もはや価値はなかった。その生死は、石剣鋒にとってどうでもよかった。
蘇乘羽はタクシーで東陵大飯店に戻った。今や敵が増え、プレッシャーも大きくなった。実力を上げることより重要なことは何もなかった。
徐陵山は蘇乘羽が龍魂司に捕まるのを目の当たりにし、やっと訪れた一筋の希望が消え去り、徐陵山は絶望の極みに達した。
蘇乘羽が龍魂司に連行されたのだから、きっと凶多く吉少なく、もう頼りにならなくなった。徐陵山が絶望するのも無理はなかった。
徐陵山はレストラン三階のオフィスのソファーに横たわり、運命を受け入れるしかなかった。