第168章 ゆすり

林正勳の誕生日宴会の会場はとても広く、宴席が並べられている場所の他に、後ろにもかなり広いスペースがあった。蘇乘羽は身を躍らせ、宴会場の後方へと飛んでいった。

「どこへ行く!命を置いていけ!」

唐進は蘇乘羽が逃げようとしていると思い、大声で叫びながら追いかけた。

蘇乘羽は宴会場の後方の広々としたスペースまで走り、背後から唐進が追ってくるのを感じると、振り返って半歩崩拳を繰り出した。唐進は全く防備がなく、勢いよく突進していた。

蘇乘羽の拳が迫る中、もはや回避の余地はなく、唐進は両腕を胸の前に交差させて防御するしかなかった。

「バン」という音とともに、唐進はこの一撃で空中で一回転し、体はドンドンドンと数歩後退してようやく止まった。

最初の交手で、唐進は少し不利な状況に陥った。

とはいえ、唐進は武学宗師である。蘇乘羽のこの一撃は、彼の両腕をしびれさせただけで、大きな実質的なダメージは与えられなかった。

「盗み取った功夫だけで、老夫に挑もうとするとは、まったく笑止千万だ!自分の絶学もなく、盗みだけでは決して大成しない。天才の名ばかりで、天才の実力のないお前のような者は老夫が最も軽蔑するところだ」

唐進は短い言葉の中に、武学宗師としての地位と傲慢さを存分に表していた。

「たかが一品宗師如きが、私にとやかく言う資格はない」

蘇乘羽が唐傑に手を出したのは、唐進に対処する十分な自信があったからだ。半歩宗師と宗師の間には大きな差があり、越えがたい溝があるかもしれない。

しかし蘇乘羽は本当の武人ではなく、修真者であり、武人のランクは彼には適用されないのだ。

「死にたいか!」

唐進は冷たく鼻を鳴らし、拳風を呼び起こしながら蘇乘羽に向かって襲いかかった。出手から容赦ない殺しの技だった。

蘇乘羽は少しも恐れる様子もなく、幻影十字拳を繰り出して唐進と交戦した。二人の拳がぶつかり合い、動きは敏捷で、空気中には音速を超える音が響いた。

「蘇乘羽の実力は、体育館での決闘の時よりも強くなっているようだ。唐宗師と対峙しても引けを取らないな」宴会場にいた練武の人が口を開いた。

「おそらく体育館での決闘では、彼は本当の力を出していなかったのだろう」