林致華は林初音に励ましの眼差しを送った。林正勳は以前、自ら口にしていた。兄弟二人のうち、誰が蘇乘羽を味方につけられるか、その者が林家の後継者になると。
もともと林致華は自分が不利な立場にあると感じていた。蘇乘羽は明らかに林初雪との関係がより親密だったからだ。しかし、やはり林初音の言う通りだった。林初雪のあの気難しい性格は、男性には耐えられないだろう。特に蘇乘羽のような優秀な男性は、なおさら好きにはならないだろう。
今や林初音が後から追い抜いたことで、林致華も心中大いに喜んでいた。
一方、林致遠夫妻の表情はあまり良くなかった。
「林翁、あなた方が話されているこの蘇さんというのは、数日前に体育館での決闘で、一人で崔岩と侯從生の二人を大敗させた蘇乘羽ではありませんか?」
傍らにいた経営者の一人が尋ねた。
「その通りだ、彼だ」林正勳は髭をなでながら答えた。
「見たところ、林家と蘇さんの関係は浅くないようですね?」
「かなりの交友関係があるよ!蘇さんは我々林家に恩がある。先日、私が不治の病に罹り、薬も効かなかった時、蘇さんの妙手回春のおかげで一命を取り留めたのだ!」林正勳は言った。
「おや?この蘇さんは実力が群を抜いているだけでなく、若くして半歩宗師の域に達し、さらに医術にも精通しているのですか?」会議室内の多くの人々が驚いた様子だった。
「蘇さんの医術は神業と言えるほどだ」林正勳は言った。
地方から来た経営者の一人が言った。「あなた方の霖江のこの蘇さんについては、私も耳にしています。最近、名声が高まっていますね。まさに若い世代の俊英です」
その場にいた人々は蘇乘羽について語り合い、皆が議論し、自然と敬服の念を抱いていた。
林正勳の義兄弟である袁震東が言った。「老林、お前の病気はこの蘇さんが治したのか?」
林正勳がうなずくと、袁震東は言った。「この蘇さんは本当にただ者ではないな。後で私たちに紹介してくれよ」
そのとき、やや不協和音な声が響いた。
「俊英であることは間違いないが、いわゆる俊英がどれだけ長く生き、どれだけ遠くまで行けるかは、まだ分からない。私からのアドバイスだが、彼と交友を持とうとする者は、慎重になった方がいい。火傷しないようにな」