林致華は林初音に励ましの眼差しを送った。林正勳は以前、自ら口にしていた。兄弟二人のうち、誰が蘇乘羽を味方につけられるか、その者が林家の後継者になると。
もともと林致華は自分が不利な立場にあると感じていた。蘇乘羽は明らかに林初雪との関係がより親密だったからだ。しかし、やはり林初音の言う通りだった。林初雪のあの気難しい性格は、男性には耐えられないだろう。特に蘇乘羽のような優秀な男性は、なおさら好きにはならないだろう。
今や林初音が後から追い抜いたことで、林致華も心中大いに喜んでいた。
一方、林致遠夫妻の表情はあまり良くなかった。
「林翁、あなた方が話されているこの蘇さんというのは、数日前に体育館での決闘で、一人で崔岩と侯從生の二人を大敗させた蘇乘羽ではありませんか?」