蘇乘羽は急いで静心呪を唱え、立ち上がって方晴に背を向けた。
「怪我が大丈夫なら、先に帰りなさい」と蘇乘羽は言った。
方晴は目を閉じ、頭の中は混乱し、様々な想像が浮かんでは消えた。もし蘇乘羽が彼女にキスをしようとしたら、どうすればいいのかと考えていた。しかし蘇乘羽が適切に正気を取り戻したことで、方晴はほっとした一方で、心の奥底では少しだけ物足りなさを感じていた。
方晴は顔を赤らめて恥ずかしそうに立ち上がり、白い歯で赤い唇を軽く噛みながら、突然口を開いた。「蘇乘羽、私はあなたが好きです」
「え?」
蘇乘羽は驚いた。この告白はあまりにも突然で、心の準備ができていなかった。
「方隊長はそんなに直接的なの?冗談でしょう!」蘇乘羽は振り向いて、口角を少し上げて言った。
「私は隠し事が嫌いなの。好きは好きよ、それを言えないことなんてない。誰かを好きになるのは、私の自由な権利でしょう?」