第197章 難解の局面

方明がこのように時機を得て来たのは、方晴と曾一凡のおかげだった。

方晴は龍魂司で石剣鋒に追い出された後、すぐに方鎮海に電話をかけ、蘇乘羽を救うよう頼んだ。

方鎮海はどれほどの身分であろうとも、蘇乘羽のような無名の若者のために出て行き、龍魂司の事に干渉するはずがなかった。しかし、方晴の粘り強い懇願に抗えず、さらに方晴は父親に嘘をついて、すでに蘇乘羽と一生を誓い、蘇乘羽の子を宿していると言った。

方鎮海は非常に怒ったが、結局は自分の愛娘のことなので、最終的に蘇乘羽を守るために出ることを約束した。

方晴は方鎮海が出て行っても、電話一本で済まされ、蘇乘羽が霖江龍魂司に閉じ込められている状況で、石剣鋒が何か策を弄するのではないかと心配し、兄の方明にも電話をかけ、霖江に来てくれるよう頼んだ。

方明は妹の方晴をとても可愛がっており、将来の義弟のことだからと、その義弟にあまり満足していなかったにもかかわらず、急いで江陽市から駆けつけた。

方明と方晴は一緒に龍魂司部に到着し、本来は石剣鋒に会うつもりだったが、ちょうど重傷を負った曾一凡が連行されるところに出くわした。曾一凡は蘇乘羽が毒手に遭うと言った。

方明の強い干渉のもと、曾一凡を連れて、ようやく尋問室に間に合った。

方晴は蘇乘羽が全身血まみれで、傷だらけなのを見て、心が痛み、吊るされていた蘇乘羽を降ろし、しっかりと抱きしめ、涙を流した。

「蘇乘羽、大丈夫?病院に連れて行くわ!」

「大丈夫だ、死にはしない!君が来てくれてよかった、さもなければ石剣鋒に廃人にされるところだった」蘇乘羽は弱々しく言った。

蘇乘羽は方晴に感謝の気持ちを抱いた。

「方明!お前は要職に就いているとはいえ、これは我が龍魂司の事だ、お前にはまだ干渉する権利はない。蘇乘羽は釈放するが、今ではない」

石剣鋒は知っていた、もしこの度蘇乘羽を逃がせば、今後は方家の庇護があり、もう彼に手を出せなくなるだろうと。

そして蘇乘羽は武学の天才であり、方家の支援があれば、きっとすぐに台頭するだろう。そうなれば不運なのは彼、石剣鋒だ!

彼と蘇乘羽の間の恨みは、解消できない。だから今、彼はどうしても蘇乘羽を廃人にしたかった。

「確かに私は龍魂司の事に干渉できない。しかし、あなたが権力を私物化しているこの件については、議論する必要がある」