翌日、まだ11時にもならないうちに、すでに体育館に到着した人がいた。
今回の決闘は、霖江の顔が利く一部の人々には直接招待券が贈られ、一部のチケットは一般販売されたが、あっという間に売り切れ、ダフ屋たちは大儲けした。
林家別荘では、林初雪は当然現場に行くつもりだったが、出かける直前に林致遠に止められた。
「初雪、やはり現場には行かないで、家で生中継を見た方がいいと思う」
「どうして?」林初雪は不思議そうに尋ねた。
「蘇乘羽が惨めに死ぬところを見て、耐えられなくなるのが心配だ」林致遠は諭すように言った。
「何言ってるの?彼は任千重に負けないわ!私は彼を信じてる、絶対に勝つわ」林初雪は不機嫌そうに言った。
「そういうことは、口で信じるとか信じないとかの問題じゃない。あれは霖江一の高手、任千重だぞ。蘇乘羽にチャンスはない。今回は、彼の命は終わりだろう」
林致遠は林正勳の言葉を固く信じていた。蘇乘羽には問題が多すぎ、敵は一人また一人と強くなっていく。林家は彼と距離を置くべきで、あまりに親しくすることは林家にとって何の利益もないのだ。
「お父さん、どうしてそんなことが言えるの?蘇乘羽は前後二回も私たちの家を救ってくれたのよ。彼がいなければ、林家はとっくに終わっていたわ」林初雪は冷たい表情で言った。
「彼の林家への恩は、機会があれば返すさ!しかし今、林家が飛び出して洪鎮亭と敵対するのか?それは自殺行為だ!彼が死にたいなら、それは彼の問題だ。林家が一緒に道連れになる必要はないだろう。とにかく、行ってはいけない!」
林致遠は厳しく言った。
林初雪は頭を振り、心の中が冷え切った気がした。蘇乘羽が林家に対して少しも好感を持っていないのも無理はなかった。
林家のやり方は、本当に人の心を凍らせるものだった。
「私が行くのを止めるのは、関係を切りたいからでしょ。万が一蘇乘羽が戦死したら、洪鎮亭が林家に報復するのを心配してるんでしょ?」林初雪は怒って言った。
「その通りだ!今や私は林家の舵取り役だ。全体を考えなければならない。絶対に林家を危機に陥れるわけにはいかない。蘇乘羽は今回死ぬのは確実だ。死にゆく者のために、洪鎮亭を敵に回す必要があるのか?」林致遠は強硬な態度で言った。