第251章 囮になる

石逸は本当に蘇乗羽に激怒していた。霖江では、彼に対して、そして彼の父親に対してこれほど無礼な態度を取る者はこれまで誰もいなかった。

龍魂司の人間は、骨の髄まで極めて傲慢であり、蘇乗羽のような人を見下した態度をどうして容認できようか。

「死にたいのか！」

石逸は怒りで顔色が青ざめ、拳を固く握り、額の血管が浮き出て、目を見開いて、明らかに極度に怒っていた。

今日、蘇乗羽のこの傲慢な態度を打ち砕かなければ、龍魂司の、石剣鋒の威厳が損なわれることになるだろう。

石逸は我慢できなくなった。蘇乗羽の相手にならないことを知りながらも、手を出さずにはいられなかった。

石逸は再び突進してきた。二品宗師として、彼の攻撃の勢いは弱くなかったが、二品宗師は蘇乗羽の前では、まったく歯が立たなかった。

蘇乗羽の目に冷たい光が走った。先ほどの一撃は、彼は力を抑えていた。そうでなければ、石逸は単に腕がしびれて感覚を失うだけでは済まなかっただろう。

石逸は拳と足を使って蘇乗羽に攻撃を仕掛けたが、蘇乗羽はその場に立ったまま動かず、ただ一本の手だけで石逸のすべての攻撃を受け流した。

「見ろ！蘇乗羽は受け身の防御しかできず、石逸を傷つける攻撃はできないんだ。」

「当然できないさ！口では強がって、悪口を言うだけならまだしも、本当に石逸を傷つけたら、大司馬が追及してきたら、彼も逃げ場がなくなる！」

人々は蘇乗羽が攻撃せず、ただ石逸の攻撃を防御して受け流しているのを見て、蘇乗羽がさっきは口先だけだったと確信を深めた。

「逸兄ちゃん、思いっきり懲らしめて、あの嫌な口を潰して、手足を折ってやって！」杜彩蝶は傍らで石逸を応援しながら、蘇笑笑に挑発的で得意げな視線を送った。

「蘇乗羽、お前なんで怖気づいてるんだ？本当に強いなら俺を殴り返してみろよ！できないだろ？」

石逸も蘇乗羽が手加減していることに気づいていた。蘇乗羽が防御に徹するなら、彼がどんなに攻撃しても全く効果がないことを。

石逸と蘇乗羽の実力差はとても大きかった。

「お前は賤しい骨の持ち主か、それとも皮が痒いのか？わざわざ殴られたいのか？」蘇乗羽は冷たく言った。