第045章：林逸の野望！
「ありがとう、苗さん。WeChat交換しましょう。これからも連絡を取り合いましょう」
「ああ」
WeChat友達を追加した後、苗長餘は女の子のお尻を軽く叩いて言った。「これから望江埠頭でなにか困ったことがあったら、俺に言ってくれ。なんとかしてやるから」
「分かりました、苗さん」
「埠頭の設備を壊しておいて、そのまま帰すつもりか？」林逸が言った。
まさに立ち去ろうとしていた二人は、林逸を見て表情が曇った。
「あなたに関係ないでしょ」背の高い女性はシースルーの服を整えながら、軽蔑した口調で言った。
「お前に言ってるんじゃない」
苗長餘が責任者なので、この件は彼が対応しなければならない。
「兄弟、俺は望江埠頭の運営部長だ。賠償するかしないかは、お前には関係ないだろう」
「自分の立場をわかってるんだな？」林逸は言った。「彼女が賠償しないなら、お前が賠償しろよ」
「くそ、面白いじゃねえか」苗長餘は罵った。「これは我々の内部の問題だ。お前に何の関係がある？余計な詮索をしすぎじゃないのか？」
そのとき、もう一人の女性が近づいてきた。先ほど林逸にWeChatを聞いてきた人だ。
「佳佳、どうしたの？」
「精神病に会っちゃった。私と苗さんで話がついてたのに、突然出てきて賠償しろって言うの。頭おかしいでしょ？」
先ほどのビキニ姿の女性の表情が一瞬で嫌悪感に変わった。
なぜなら先ほど、彼女たちは一緒に海に出かけていて、この件には自分も責任があるからだ。
「あなた、頭おかしいんじゃない？なに？イケメンだからって人の事に首を突っ込めると思ってるの？」
林逸は肩をすくめ、苗長餘を見つめて言った。「彼女たちと口論するのは面倒くさい。でもこの件をちゃんと処理しないと、後で後悔することになるぞ」
「くそ、俺は賠償させねえ！てめえ何様のつもりだ！」
「じゃあ、見てろよ」
林逸はそれ以上言葉を費やさず、望江埠頭のオフィスビルへと向かった。
林逸がオフィスビルに着いたとき、中は隅々まで掃除が行き届いており、床のタイルは鏡のように磨き上げられていた。
「お客様、何かご用件でしょうか？」
「私は林逸だ。畢松江部長に会いたい」
「林逸様？」
受付の女性は明らかに驚いた様子で、「もしかして、先日望江埠頭を買収された林社長様でしょうか？」
「そうだ」林逸は微笑んで答えた。
「林社長様、ようこそいらっしゃいました」
受付の女性は深々と頭を下げ、少し目眩を感じた。
新しい社長は太った中年男性だと思っていたし、もしかしたら自分に変な考えを持たれるかもしれないと心配して、わざとズボンを履いてきたのに。
こんなにイケメンだと分かっていれば、黒ストッキングとミニスカートを履いてくるべきだった！
「行こうか、畢松江のところへ案内してくれ」
「はい、林社長様こちらへどうぞ。畢部長は会議室でお待ちしております」
受付の女性の案内で、二人は3階の会議室へと向かった。
二人が会議室に入ると、畢松江はすぐに出迎えた。
「林社長様、お待ちしておりました」
システムは望江埠頭を買収する際に、すでに畢松江に林逸の写真を送っていたので、一目で彼だと分かった。
「ちょっとした用事で時間を取られてしまった」
「いいえ、構いません」畢松江は言った。「私たちもちょうど到着したところです」
林逸は頷いた。「では無駄話は抜きにして、本題に入りましょう」
「はい、はい、林社長様こちらへどうぞ」
畢松江は林逸を主席に案内した。
林逸は幹部たちを一人一人見渡しながら、静かに言った：
「まだ全員揃っていないようですね」
林逸は具体的な管理職の人数は知らなかったが、少なくとも先ほど口論した人物の姿が見えなかった。
「林社長様、少々お待ちください。運営部長がまだ来ていないだけです。今日は人が多くて彼も忙しいものですから、少し遅れているようです」
林逸は椅子の背もたれに寄りかかり、片手で頭を支えた。
「急ぎません。全員揃ってから会議を始めましょう」
「もう一度催促させます」
そう言って、畢松江は隣の女性秘書を見た。「劉さん、もう一度苗部長を急かしてきてください」
「分かりました」
林逸の表情があまり良くないのを見て、会議室の人々は皆、息を潜めた。
これは典型的な新任の上司による粛清だ！
数分後、外から足音と、かすかな話し声が聞こえてきた。
「苗部長、どうしてこんなに遅れたんですか？林社長様がいらっしゃっているのに、あなただけが来ていないんですよ」女性秘書が言った。
「言わないでくれ。道中で頭のおかしいやつに会って、時間を取られてしまったんだ。そうでなければとっくに来ていたよ」
「早く行きましょう」
「ああ」
会議室のドアが開き、苗長餘と女性秘書が前後して入ってきた。
「苗部長、随分と大きな顔をしているようですね！」
苗長餘が顔を上げると、瞬時に両足から力が抜けた。
「あ、あなたが林社長様！」
「どうだ、今になって分かったか？」
苗長餘は死人のように青ざめ、骨が溶けたかのように、壁を支えていなければ立っていられないほどだった。
「林社長様、先ほどの行為について深くお詫び申し上げます。罰金は喜んでお支払いいたしますので、どうか今一度チャンスをください！」
「チャンスはすでに与えた。だがお前はそれを大切にしなかった。これは他人のせいにはできないだろう。社員証を置いて出て行け」
「林社長様、お願いです。この仕事を失ったら私は...」
「他の言い訳は聞きたくない」林逸は低い声で言った。「畢部長、警備員を呼んで彼を追い出してください」
「承知いたしました、林社長様」
その場にいた幹部たちは、何が起こったのか理解できなかった。
しかし、林社長が就任早々苗長餘を解雇し、しかも一切の余地を与えなかったことは、良い前兆ではなかった。
苗長餘が追い出された後、会議室は静まり返り、幹部たちは緊張して林逸の次の指示を待った。
「先ほど埠頭周辺を視察したところ、いくつかの設備が老朽化していることが分かりました。埠頭の改革を行いたいと思いますので、近いうちに計画案を作成してください。できるだけ早く」
「林社長様、華夏のすべての埠頭の中で、我が望江埠頭は第二位にランクされており、各設備もまだ十分使えます。実際のところ、アップグレードや改造の必要性はないと思います」
畢松江は率直に、つまり設備は十分で、余計な出費は必要ないと言いたかった。
「あなたの言いたいことは分かります。しかし、今おっしゃったように、我が望江埠頭は華夏全体で第二位です」
ここで林逸は一旦言葉を切り、「あなたがたは、人の下に甘んじることに満足しているのですか？」
この言葉に、その場の幹部たちは皆興奮し、畢松江は尋ねた：
「林社長様、もしかして望江埠頭を華夏最大の埠頭にしようとお考えですか？」
林逸は首を振った。「そうではない」
「では、どういう...」
その場の幹部たちは皆、頭を抱えていた。林社長は一体何を考えているのか？
彼の真意が全く読めない！
「私は望江埠頭を、世界最大のヨットハーバーにする。しかも他の追随を許さない、唯一無二の存在にしたい！」