西漠。
空明寺が西漠の修行者たちを率いて南域へ避難して以来、この大地には、ほとんど一般人しか残っていなかった。
そのため、誰も空に現れた異変を感じ取ることができなかった。
空では、風と雷が激しく渦巻いていた。
空間が震えていた。
界壁の向こう側では、数人の人影が協力し、古代の陣法や寶物が次々と発動されているのが見えた!
ついに、その界壁に一筋の亀裂が走った!
界壁の向こう側の修行者たちが力を込め続け、その亀裂は徐々に広がっていった!
ついに、その亀裂は一人が通れるほどの大きさになった!
界壁の向こうで待機していた青年が、一歩を踏み出した!
次の瞬間、白衣の青年は二つの界を跨ぎ、この空に姿を現した!
まさにその瞬間。
遥か遠くの、秘められた玄黃霧海の中で!
浮き沈みを繰り返し、根が数万里にも及ぶ巨大な古木が突然震え、恐ろしい気機が瞬時に放たれ、空間と時間を貫いた!
この気機は直接西漠の上空に現れ、白衣の青年に向かって斬りかかった!
白衣の青年は恐ろしい襲撃を感じ取ったが、慌てる様子もなく、淡々と一枚の玉札を取り出した!
玉札から緑色の光が流れ出し、彼を包み込んだ!
気機は依然として彼に襲いかかった!
白衣の青年の顔色が一瞬にして蒼白になり、体が何度か揺らいだ。
「やはり、界を跨ぐには大きな代償が必要だ。宗門が残り少ない原始界石を使って私を渡らせてくれたが、この界に入った後でも世界樹に感知され、この界の『天意一刀』を受けて、修為の一部を失ってしまった……」
彼は呟きながら、法訣を運転し、玉札の中の緑光を全て体内に吸収し、修為を少し回復させた。
「幸い、まだ仙人境界は保っている……さもなければ、この界の蟲けらどもに軽く見られてしまうところだった」
彼は冷笑しながら一歩を踏み出し、「玄天界、冥天北、私は来たぞ!」と言った。
彼は大地に降り立った。
しかし、彼はすぐに困惑した。
この広大な地域で、強大な修行者の気配を一つも感じ取ることができなかったのだ。
長い時間が経って、ようやく小さな宗門を見つけたが、その宗主でさえ築基境界に過ぎず、当時南域へ避難する資格すらなかった者だった。
しばらくして、情報を得た彼はこの小さな宗門を後にした。
「蟲けらどもは皆南域へ行ったというのか?ふん!」
彼は一歩を踏み出した。