第94章 師匠は美女(下)

蘇雍皇は疑わしげに目の前の李七夜を見つめたが、彼の言葉をあまり信じていなかった。

「前任の宗主と太上長老がなぜあなたを宗主に選んだのか、私にはわかりました」と李七夜はゆっくりと言った。「明仁仙帝の後継者なら、当然洗顏古派の宗主となる資格があるでしょう」

「どうしてそのことを知っているの!」蘇雍皇は顔色を変えた。天涯蘇家は彼らの自称に過ぎず、しかし世間は知らない、天涯蘇家が明仁仙帝の後継者であることを!

「祖師が夢枕に立って教えてくれたのだ」と李七夜は微笑んで答えた。

蘇雍皇は首を振った。彼女はもちろんそんな説明を信じなかった。夢枕に立つなどというのは、あまりにも荒唐無稽すぎる。もし祖師が夢枕に立って李七夜に告げたのでなければ、目の前の十四歳の少年がどうしてそれを知っているというのだろうか?

「天涯蘇家か」ついに李七夜はため息をつかずにはいられなかった。あまりにも遠い昔の記憶だった。天涯蘇家が無事であることは常に知っていたが、あの時以来、もう二度と訪れることはなかった。

天涯蘇家のことは、陰鴉としての彼でさえ、多くを語りたくない事柄だった。なぜなら、この一件は、彼と明仁仙帝を仲違いさせかねないものだったからだ。

明仁仙帝は、無一文の少年から歩み始め、最終的に天命を受け、仙帝となった。これは確かに容易なことではなく、自身の努力と李七夜の導きの他に、多くの兄弟や友人の助けなしには成し得なかった。

当時、明仁仙帝の側には一人の女将がいた。彼女は明仁仙帝に長く従っており、言わば明仁仙帝が仙帝になる前から、彼の足跡があるところには、必ずこの女性の足跡もあった。

この女性は当時、名門の出身として知られていたが、陰鴉としての李七夜は彼女の才能を見出し、多大な労力を費やして、彼女を明仁仙帝の側に留めることに成功した!

これは李七夜の苦労が報われた。女性は明仁仙帝の側で賢内助として、常に明仁仙帝を補佐し、彼女の才能で多くの賢才を集めた。明仁仙帝が天命を受け、仙帝となった後も、彼女はしばらくの間、明仁仙帝の天下の詔文を批閲していた!