第26章 特別病室

林亦は食事を終えると、補習に行かずに明海花園に戻った。

時刻はすでに夜の七時半で、林亦が戻ってきたとき、ちょうど陳強山と呂舒が急いで外に出ようとしているところだった。

「亦ちゃん、お帰り。今日はどうしてこんなに遅いの？ご飯は食べた？」

林亦は陳強山の表情が非常に深刻で、呂舒の表情もあまり良くないことに気づいた。

呂舒は戻ってきた林亦を見て、無理に笑顔を作った。「お料理はまだテーブルの上にあるわ。まだ温かいから、お腹が空いたらもう少し食べてね。」

「いいから、そんなに言わなくていい。先に車を出してくる。」

陳強山は林亦を見ることもなく、足早に車庫へ向かった。

「陳おじさん、どうしたんですか？」林亦は陳強山の背中を見て、彼の感情が不安定なのを感じた。

「はぁ、会社の上司の件なのよ。どんな病気なのかわからないけど、今は病院で寝たきりで、話すこともできない状態なの。」

「多くの神醫を探したけど、誰も治せなかったわ。そして、もしその上司が退任することになったら、陳おじさんの仕事にも影響が出てしまうの。」

呂舒はため息をつき、軽く首を振った。「今回は江城市から有名な神醫を呼んできたの。その人に何か方法があるかどうか...もしだめだったら...」

ここまで話して、呂舒は言葉を続けなかった。彼女は林亦を見て、優しい目で言った。「これらのことはあなたにはあまり関係ないわ。亦ちゃん、あなたは勉強に集中していればいいの。」

「呂おばさんがこんなに眉をひそめているということは、きっとこの上司は陳強山の仕事にとってとても重要な人なんだろう。陳強山は私のことをあまり良く思っていないけど、呂おばさんの恩に報いるためにも、一緒に行かなければならないな。」

林亦は心に決めて、呂舒を見上げて笑顔を見せた。「呂おばさん、私も一緒に行っていいですか？今日の宿題は学校で全部終わらせてきたんです。」

「それは...」

呂舒は少し躊躇した。というのも、状況的に林亦を連れて行くのは適切ではないし、そもそも林亦がなぜ病院に行きたがるのかもわからなかった。

「手の包帯を取り替えに行きたいんです。病院に行かないといけないので。」林亦は左手を軽く上げて見せた。

「手の具合はどう？まだ痛む？」呂舒は心配そうに林亦の左手を見た。

「うん、大丈夫です。」林亦は満面の笑みを浮かべた。