梁成九は先に立って、林亦を案内した。
五階に上がると、梁成九は一つのドアを開けた。
部屋の中で、于偉大はちょうど席から立ち上がったところだった。
「こんにちは」
于偉大はドアの外に立つ林亦を見て、軽く頷き、それから梁成九を見た。梁成九は意を察して、部屋を出て、ドアを閉めた。
林亦は目の前の部屋を見渡した。部屋は凝った造りで、下階のKTVのような華やかさはなく、代わりに落ち着いた雰囲気が漂っていた。
「先日、一度お会いしましたね。覚えていらっしゃるでしょう」
于偉大は林亦から少し離れた位置に立ち、目の前の少年を細かく観察し、目が揺らめいた。
あの夜、林亦は一人で二階から一階まで戦い、帝豪KTVの用心棒たちを全員やっつけた。その手腕は、すでに于偉大に敬意を抱かせるに十分だった。
その夜、于偉大は林亦をよく見る機会がなかったが、今見ると、林亦は少し痩せ型で、それが于偉大を少し驚かせた。
「ああ、私を呼んだのは仕返しがしたいからですか?もしそうなら、今すぐにでも始められますよ」林亦は勝手に前に進み、椅子を引いて腰を下ろし、片足を組んで、興味深そうに目の前の于偉大を見つめた。
「いやいや、前回は私が目が利かなかったのです。私たちの間に誤解があったかもしれませんが、過去のことは水に流しましょう。いかがでしょうか?」
于偉大はコップを取り出し、林亦にお茶を入れ、視線を林亦から離すことなく、顔に薄い笑みを浮かべた。
林亦は黙ったまま、手を伸ばし、指でリズミカルにテーブルを叩きながら、于偉大を見つめ、何かを考えているようだった。「私を呼んだのは、これだけを言うためじゃないでしょう。他に用がないなら、私は帰りますよ」
「元々あなたは強情な人だと思って、もう一度やり合うつもりでしたが、今は免除しましょう。分かっているようですね」
林亦の言葉に、于偉大の目の奥で一瞬光が走ったが、彼は自分の感情をうまく隠した。
「もちろんそうではありません。実は、あなたにお願いしたいことがあるのです」于偉大は少し躊躇してから、ゆっくりと口を開いた。
「お願い?」