張恒は悠然と林亦を見つめていた。林亦は立ち上がると、彼の方へ真っ直ぐに歩み寄り、しゃがみ込んでビールを一本取り出した。
「そうだよ、みんなで遊びに来たんだから楽しまなきゃ。お前が分かってくれれば、青松の顔を立てて、あまり厳しくはしないよ」
「このビール二箱を大人しく飲み干せば、さっきのことは水に流してやる」張恒は座ったまま、顎を上げて林亦を見つめ、悠然とした様子だった。
「水に流すか」林亦は首を振り、両手にビール瓶を二本持ち、親指で軽く開けると、瓶の蓋が音を立てて外れた。
この光景を見た黎青松は胸が締め付けられ、不吉な予感がした。
張恒は何の異常も感じ取れず、まだ頷いていた。「うん、ビールの開け方が上手いな。お前、ボトルオープナーに向いてるんじゃないか。その服装を見ると、家もそんなに裕福じゃなさそうだし、うちでボトルオープナーやってみないか?毎日酒席の横にいるだけでいい、お客さんが開けてほしい時に手伝うだけだ」
「月給は、青松の顔を立てて三千五百元出してやるよ。お前の住んでる縣城じゃ、かなりの額だろ?」張恒は口元に嘲笑うような笑みを浮かべ、林亦を見つめた。
「飲めよ、なんで飲まないんだ?」
張恒は林亦がしゃがみ込んでビールを開けた後、飲まずに再び自分の方へ向かってくるのを見て、眉をひそめ、訳が分からない様子だった。
「酒は良い酒だが、人が良くない。俺に酒を勧めたいなら、申し訳ないが、お前にはその資格がない」林亦は首を振りながら、張恒の傍らに立ち止まった。
「何をするつもりだ?」張恒はようやく何か問題があることに気付き、開けられた二本のビールを持つ林亦を警戒の目で見た。
「林亦、恒さんは白龍山リゾートのホールマネージャーだぞ。何かする前に、よく結果を考えろ!このままじゃ、陳琳嫣の顔を立てても、お前を守れないかもしれないぞ!」林亦が何をしようとしているのか薄々分かった黎青松が、虚勢を張って林亦に叫んだ。
「あんた本当にくどいわね、ただお酒を飲むだけじゃない、なんでそんなに意地張ってるの」傍らの李秋香は問題の本質が分かっておらず、声を張り上げて林亦に叫んだ。
「雰囲気ぶち壊しね、なんで来たのかしら」馬月瑩も同調して言った。