シュッ。
小石が空を切り裂き、冷たい風を伴って飛んでいった。
最後には牛帆の脛に命中した。
バン。
牛帆の足が陳琳嫣の体に踏みつける前に、彼は一瞬にして重心を失い、右足がぐらつき、体もろとも右側に倒れ込んだ。
「どうして急に倒れたの?」王麗燕は少し呆然として、地面に倒れている牛帆を不思議そうに見つめた。
「今、何が起きたの?」馬月瑩も首を傾げていた。
「突然、地面に倒れたみたいね」李秋香は黎青松を見た。黎青松も何が起きたのか分からず、呆然としていた。
その側にいた劉璐冉は眉をひそめ、群衆の後ろを見た。
牛帆は激しく振り向いて「誰だ!」と叫んだ。
「触れてはいけない人に手を出すな。少しは分かったか」
群衆の後ろから少し怠惰な声が聞こえてきた。馬月瑩たちは少し驚き、全員が後ろを振り向いた。
群衆の後ろにいた林亦が冷ややかな表情で前に進み、群衆を通り抜けて趙辰の側に立った。
趙辰はまだ地面に横たわっていた。彼の手は陳琳嫣の腕を掴んだまま、陳琳嫣を盾にしようとしていた状態のままだった。
陳琳嫣が顔を上げると、ちょうど高みから自分を見下ろす林亦と目が合った。特に林亦の表情が冷淡なのを見て、陳琳嫣は突然胸が複雑な思いで一杯になった。
「林亦か?」牛帆は林亦が出てきたのを見て、表情を少し止め、驚いた様子だった。
牛帆はゆっくりと立ち上がり、険しい目つきで林亦を見つめた。「学校での一件で完全に目が覚めなかったようだな。本当に執念深いやつだ」
「余計な口出しをするつもりか?」
牛帆は右足を動かし、林亦を見る目に疑いの色が混じっていた。
さっきは突然強い力が足に当たり、思わず体を傾けてしまい、そのまま重心を失って地面に倒れてしまった。
あの石の力は侮れないものだったが、林亦が投げたものだろうか?
ありえない。
牛帆は心の中ですぐに結論を出した。もし林亦がそんな石を投げられるなら、先日学校で自分に簡単に脅されて地面に這いつくばり、気を失うようなことはなかったはずだ。
となると、最も可能性が高いのは……
牛帆は目を林亦の隣にいる夏目に向けた。
身長180センチ、今年大学に入学した夏目は林亦より大人びて見え、それに比べると林亦の体つきは少し小さく見えた。
「こいつは好きにしていい」