第114章 道心、還る

午後二時、グラウンドには人が集まっていた。

今日は夏春カップの第一試合で、三組対七組の対戦だった。

スタンドには、すでに生徒たちが席を埋めていた。

メイン席では、張春水がピーターと共に座り、笑顔を浮かべていた。

「ピーターコーチ、あれが私たちのクラスのチームです。一番前に立っている背の高い、7番のユニフォームを着ているのが易思城です」張春水は手を伸ばし、フィールドの片側を指さしながら、隣のピーターに説明した。

通訳が張春水の言葉をピーターに伝えると、ピーターはそちらを一瞥し、軽く頷いたが、表情は幾分厳しく、何も言わなかった。

彼は人生をサッカーに捧げ、数多くの天才的な選手を見てきた。ピーターの国際的な視点から見れば、彼を本当に驚かせる選手は稀だった。

サッカーの技術は後天的な育成で身につけることができるが、ボールセンスは違う。卓越したボールセンスは、他人には真似できないプレーを可能にする、それこそがサッカー選手の才能だった。

明海第二中學校に顧青海という選手がいなければ、ピーターはこの試合を見に来る興味すら持たなかっただろう。

実際、明海第二中學校が誇る顧青海でさえ、ピーターの目には、優秀な選手の一人に過ぎず、傑出した選手とは程遠かった。

あちらの易思城を見て、ピーターは一瞬考え込んでから、ゆっくりと口を開いた。「彼が十分な驚きを見せてくれることを期待している。もし本当に天才的な選手なら、私の判断で国家代表チームに招集することもできる」

「さらに、もし彼の才能が本当に非凡なものであれば、私の古巣のクリスビルに推薦することも吝かではない」ピーターはゆっくりと話し、隣の通訳が彼の言葉を中国語に訳して張春水に伝えた。

張春水は喜色を浮かべ、急いで感謝の言葉を述べ、内心で喜んだ。

クリスビルチームは間違いなくサッカー界でトップ3に入る強豪チームだ。もし易思城がそのようなチームでプレーできれば、間違いなく真の国際的スターになれるだろう。

張春水は、将来自分が紹介される時、「こちらがクリスビルの星、易思城の高校時代の担任です」と言われる場面を想像し、

それを考えただけで、張春水の心は興奮で一杯になった。

……

「あと10分、10分で試合が始まります。ここに水があります。頑張ってください」