第145章 熱心な誘い

「まさか無事に戻ってきたのか?」

林亦が教室に入ってくるのを見て、数人の生徒は不思議そうな表情を浮かべた。

理屈から言えば、鄭長河を殴り、学校中の人々の前で、夏春カップという重要な試合で、公然と趙東たち三人を恥をかかせたのだから、この林亦は間違いなく鄭長河に校長室に連れて行かれ、そして教師に連れ戻されて、即座に荷物をまとめて退学になるはずだった。

しかし、この林亦は機嫌が良さそうに見える?

林亦は自分の席に座り、周りの様々な視線を完全に無視した。

しばらくして、陳萌が教室に戻ってきた。表情には落ち込んだ様子が見られた。

先ほどのテストは、いつも自信に満ちていた陳萌にとって大きな打撃だった。陳萌は自分の数学の実力はかなり良いと思っていたが、そのテストに直面したとき、初めて無力感を感じた。

問題の難易度があまりにも高く、解法の思考がとても複雑で、試験が終わるまでに、陳萌はまだ二つの大問を書き終えることができなかった。

教室に戻った陳萌は無意識に後ろの席を見た。そこに座っている林亦が何事もないかのように窓の外を見ているのを見て、眉をひそめた。

「あのテストは難しかったけど、試験時間が終わる前に逃げ出すなんて、試験場の逃亡者!」

陳萌は心の底では、あのようなテストは林亦にとって悪夢のようなものだと思っていたが、それでも解けないくせに、試してみようともせずに早々と降参する奴が気に入らなかった。

しかし林亦は陳萌の考えなど全く気にしていなかった。

午前中の後半二時間は国語の授業で、鄭長河は授業に来たとき、林亦を見ることもなく、表情は普段通りだった。

下の生徒たちは皆、好奇心いっぱいの表情で鄭長河を見つめ、鄭長河が突然林亦を立たせて荷物をまとめて出て行けと言うのを期待していた。しかし午前の授業が終わるまで、鄭長河は一言も余計なことを言わなかった。それどころか、林亦が最後の授業で堂々と机に伏せて寝始めても、鄭長河は見なかったふりをした。

これは林亦の醜態を期待していた生徒たちを、すっかり落胆させた。