271.狡猾な小娘

このような情熱的な状況で中断されたため、藤堂澄人の表情がどれほど不機嫌だったかは想像に難くない。

彼は青ざめた顔で、九条結衣の赤らんだ頬を怒りの目で見つめ、目には不満が満ちていた。「お前は、わざと俺を困らせているのか?」

彼は奥歯を噛みしめ、すでに制御不能な欲望のために声が特に掠れ、かすかな震えを帯びていた。

この時の九条結衣は、表情が特に落ち着いていて、まるで先ほど藤堂澄人と一触即発の状態になりかけた人が自分ではないかのようだった。

藤堂澄人の歯ぎしりするような詰問に対して、彼女は冷ややかに一瞥を送っただけで、冷静に服を着始めた。

彼女自身だけが知っていた。今の自分の心臓がどれほど激しく鼓動しているか、服を着る時、両手が震えていることを。

この強烈な衝撃が、彼女の脳の一本一本の神経を打ち続け、少しでも気を抜けば、頭が爆発してしまいそうだった。

「藤堂社長が自ら火遊びをしたいと言ったのでしょう?私に何の関係があるのですか?」

彼女は自分でしわくちゃにしたウールのセーターを整え、藤堂澄人を避けて更衣室の外に向かおうとしたが、腰を彼にぐっと掴まれてしまった。

「藤堂澄人……」

「結衣、辛いんだ。」

彼の掠れた声は、さらに高まる熱を帯びて九条結衣の耳に入り込み、その熱が耳を包み込み、耳根を真っ赤に染めた。

「信じられないなら、触ってみるか?」

掠れた声に甘えるような色が混ざり、彼は可愛らしく九条結衣の手をゆっくりと下へ導こうとした。この突然の行動に、九条結衣は驚いて飛び上がった。

九条結衣は藤堂澄人がこんな行動に出るとは予想していなかったため、驚いて反射的に強く振り払ってしまった。

「うっ……」

痛みを堪える呻き声が次の瞬間、藤堂澄人の口から漏れ、彼の顔色が一瞬で青ざめ、ある部分が痛みで顔色を変え、思わず冷気を吸い込み、平静を装う九条結衣を黒い顔で見つめた。

「九条結衣!」

彼は不機嫌な表情で九条結衣の赤らんだ顔を見つめ、この女を一口で飲み込んでやりたいほどだった。「お前、俺を子孫断絶させる気か?」

九条結衣は彼にそう問われ、先ほどの反応が大きすぎて力加減を誤ったあの一撃を思い出し、目に心虚な色が浮かんだ。

藤堂澄人の怒りと恨みの混ざった目を見て、彼女は首を突っ張らせ、開き直って言った。「自業自得です。子孫断絶も当然ですよ!」