1041.木村靖子は名前を変えて飄柔に

動画の中で、まず木村靖子が遠藤晶に手を上げようとし、それに対して遠藤晶も反撃し、二人は取っ組み合いになった。

続いて、九条結衣の叔母である九条愛が上がって一方的に木村靖子を打ちのめした。

面白いのはこの後だ。

木村靖子の、不倫相手の母親が自分の娘が殴られているのを見て、助けようと飛びかかったが、結局九条愛に蹴り飛ばされた。

この過程で、藤堂澄人は止めに入るどころか、九条結衣を追いかけて去っていった。

その口調はあまり良くなく、明らかに妻との関係はまだぎくしゃくしていたが、木村靖子のことを構う気はないようだった。

さらに面白いのは、もう一人の男、木村家の母娘の背後にいる男、九条政だ。

動画の中で、九条政は男としての品格や体面を気にしたのか、それとも九条愛を恐れたのか、愛人と娘を助けに前に出ることはなかった。

「九条叔母さん、すごい!こういう狐狸精はぶん殴られて当然だ!」

「代々受け継がれる狐狸精の遺伝子、娘は母親より、一人一人が淫らだ。」

「九条叔母さんは藤堂奥様の恨みを晴らしているの?」

「私が知る限り、どうやら木村三郎が理由もなく九条叔母さんの娘を殴ったらしく、九条叔母さんが見かねて飛びかかって殴ったんだって。」

「おやおや!この三郎は藤堂澄人を後ろ盾にして、天に舞い上がったつもりか?今や人を殴りたいときに殴るレベルまで来たのか?」

「なるほど、これだけ多くの大作がこの狐狸精に独占されているわけだ、藤堂社長、やるな。」

「木村三郎に名前を変えることを提案するよ、木村靖子じゃなくて、フワフワ靖子にしたら?あなたはかなり浮かれているようだから。」

「……」

木村靖子は病院で九条愛にひどく殴られただけでなく、ネット上の人々が九条愛の残忍さを非難する言葉は一言もなく、むしろ九条愛が良くやったと褒め、彼女が当然の報いを受けたと罵っているのを見た。

「くそっ!」

木村靖子は片手に氷を持って顔を冷やしながら、口から怒りの罵声を吐き、手にしていた携帯電話を粉々に叩きつけた。

彼女はエンターテイメント業界に入ったばかりで、撮影もまだ始まっていないのに、すでにネット上で最大の話題になっていた。

九条愛は彼女の顔をつかんで、動画を撮っている人に特写を与え、彼女を「狐狸精界の独孤求敗」と呼んだ。