025 数歩追いかけただけで、道乃漫が黒いニッサンに乗り込むのを見た

加藤正柏は我に返り、道乃琪が監督の部屋に行ったことを知っていた。

道乃琪は言った。道乃漫を連れて行き、六堂寒礼が何か考えがあるなら、道乃漫を置いていく。自分は絶対に六堂寒礼に触れられることはないと。

道乃琪を信じているとはいえ、やはり男としては、この件に関して小心者で疑り深かった。

道乃琪が触れられなかったと言えば、本当に触れられなかったのか?

事件が起きる前、彼は道乃琪が六堂寒礼を訪ねたことすら知らなかった。

今日、道乃琪は慌てふためいて彼を訪ね、人を傷つけたと言った。六堂寒礼が彼女に無理を迫ろうとし、彼女が拒否し、ただ卓上ランプで気絶させようとしただけなのに、誤って六堂寒礼を重傷させてしまったのだと。

事態は突然で深刻だったため、加藤正柏はすぐにその時間帯の監視カメラの映像を消去した。