054 私たちは家族じゃないの？

「そうよ、私は体を大切にして、あなたを守らなければならないの」夏川清未は自責の念に駆られながら道乃漫の手を握った。「あなたを道乃家に置いておくのがあなたのためだと思っていたの。あなたのお父さんは私に対して情けがなくても、あなたは彼の血を引いているから、きっとあなたには優しくしてくれると思ったわ。私と一緒に苦労するよりも良いと思ったのに、まさか彼がそこまで人間性を失っているとは思わなかった！」

しかし道乃漫は、道乃啓元が人間性を失ったわけではなく、その人間性のすべてを夏川清翔と道乃琪に向けていて、彼女と夏川清未には向けていないだけだと感じていた。

「漫、本当のことを話して。傷害事件とか、投獄とか、一体どういうことなの？」夏川清未は尋ねた。

道乃漫は仕方なく詳しく説明した。「私が目を覚ましたとき、その人を傷つけた卓上ランプが私の手の中にあって、道乃琪の姿が見えなかったの。彼らが私に罪を押し付けようとしているのだと分かったから、すぐに逃げ出したわ。でも、彼らはまだ諦めていないみたいなの」

「なんて畜生！」夏川清未は怒りで目を赤くした。道乃漫も彼女の娘なのに、こんなひどい仕打ちを！

道乃漫は、彼女が十月十日も身籠って、命より大切に思っていた娘なのに！

夏川清未は胸が痛んだ。

「お母さん、興奮しないで。心臓が悪いこと忘れないで。手術したばかりでしょう。詳しく話そうと思ったのは、隠していたことで怒るんじゃないかと心配だったから。でも今話したら、こんなに怒ってしまって。私を心配で死なせる気？」道乃漫は急いで夏川清未の背中をさすった。「お母さん、私には今あなたしかいないの。もしあなたに何かあったら、誰が私を愛してくれるの？」

「そうね」夏川清未は何度か深呼吸をして落ち着いた。「お父さんがあなたを娘と思っていないなら、私がいるわ。お母さんがあなたを愛するから」

道乃漫は笑顔で頷いた。「そうね、何かあったら、お母さんが私の味方になってくれるって待ってるわ」

やっと夏川清未を落ち着かせることができ、道乃漫は急いで身支度を整えると、病院の食堂へ夏川清未のおかゆを買いに行った。

手術したばかりで、夏川清未はまだ他のものを食べられなかった。