篠崎汇人は申し訳なさそうに言った。「手近にあったものでね。彼が窓から飛び降りようとしたから、私は急いであなたの家のカーテンを引きちぎって、彼を縛り上げたんです。」
道乃漫はそんなことは気にもしなかった。「大丈夫です。捕まえられただけでも良かったです。逃げられるよりはましですから。」
「そうそう、これは彼から見つけたものです。」篠崎汇人は道乃漫にキャッシュカードを渡した。「見てください、これはあなたのものですか?」
泥棒が現場に自分のキャッシュカードを持ってくるなんて、聞いたことがない。
道乃漫は一目見て、確かに自分のものだと分かった。しかも、夏川清未の手術のために10万元を預けていたカードだった!
道乃漫はカードを受け取り、冷や汗が出た。
もし彼女がもう少し遅く帰ってきていたら、夏川清未の手術のために苦労して貯めたお金が、なくなっていたところだった!