「とにかく、犯人があなたの名前を出したので、警察署まで同行していただきたい。緊張する必要はありません。ただ数個の質問に答えていただくだけです。あなたがやっていないのなら、冤罪にはなりません」
夏川清翔は慌てて道乃啓元を見て、また道乃琪を見た。
道乃琪は夏川清翔の手を握り、「お母さん、安心して。あなたは冤罪よ。警察も無実の人を逮捕することはできないわ。今は警察署で質問に答えるだけよ」
そう言って、夏川清翔の手を軽く握り締め、動揺しないようにと諭した。
夏川清翔はそれでも恐怖を抑えきれず泣き出し、道乃啓元の手を掴んで、「啓元、助けて。私は本当に冤罪なの。何が起きているのかも分からないのに、突然逮捕されそうなの」
今となっては、絶対に自分がやったとは認められない。
「一緒に行くよ。ついでに弁護士にも連絡しておく」と道乃啓元は言った。