「とにかく、犯人があなたの名前を出したので、警察署まで同行していただきたい。緊張する必要はありません。ただ数個の質問に答えていただくだけです。あなたがやっていないのなら、冤罪にはなりません」
夏川清翔は慌てて道乃啓元を見て、また道乃琪を見た。
道乃琪は夏川清翔の手を握り、「お母さん、安心して。あなたは冤罪よ。警察も無実の人を逮捕することはできないわ。今は警察署で質問に答えるだけよ」
そう言って、夏川清翔の手を軽く握り締め、動揺しないようにと諭した。
夏川清翔はそれでも恐怖を抑えきれず泣き出し、道乃啓元の手を掴んで、「啓元、助けて。私は本当に冤罪なの。何が起きているのかも分からないのに、突然逮捕されそうなの」
今となっては、絶対に自分がやったとは認められない。
「一緒に行くよ。ついでに弁護士にも連絡しておく」と道乃啓元は言った。
***
道乃漫は市場で鳩を一羽買った。夏川清未は手術を終えたばかりで、鳩のスープが一番良いと思ったからだ。
他の野菜も買い、キッチンで料理を作った。
そして篠崎汇人と一緒に病院に戻った。
スープを袋から取り出した後、さらに二つの弁当箱を取り出し、周村成辉と篠崎汇人に渡した。「周村兄貴、篠崎兄貴、この数日間ご苦労様でした。これは私が用意したお昼ごはんです」
篠崎汇人は嬉しそうだった。道乃漫家で彼女が料理を作っているのを見たとき、自分用だと思っていたが、まさか自分たちの分もあるとは思わなかった。
「じゃあ...遠慮なくいただきます。ありがとう」と周村成辉と篠崎汇人は受け取った。
「以前はお二人がここにいらっしゃることを知らなかったので、準備できませんでした。これからはお昼とお夕飯は私にお任せください」と道乃漫は笑顔で言った。
篠崎汇人は道乃漫の料理の腕前を知っていた。先ほど家で料理の香りを嗅いだだけで、もう我慢できないほど食べたくなっていた。
家庭料理が食べられるなら、誰がデリバリーを食べたいと思うだろうか。
しかし、まだ遠慮がちに「そこまでしていただくのは申し訳ありません」と言った。