132 社長とご飯に行かないの?

「私も彼が必ずいい人だとは断言できないわ。でも、試してみる必要はあるでしょう。彼でなくても誰かでもいい、あなたは誰かのために一歩を踏み出さなければならないの」夏川清未の声は穏やかで、道乃漫の心も落ち着いていった。「加藤正柏のような人なら、早めに道乃琪との関係に気付いたのも良かったわ。早く彼の本性を見抜けて、これ以上欺かれたり傷つけられたりせずに済んだでしょう。それに、あなたが発見して彼を拒絶したのは、良いことよ」

道乃漫は深く息を吸い、ゆっくりと吐き出した。「分かりました。お母さん、よく考えてみます」

「そう」夏川清未は喜んだ。道乃漫が自分で一歩を踏み出そうとしているだけで十分だった。

相手が誰であろうと、彼女には特に要求はなかった。

道乃漫は身支度を整えた後、隣のベッドで休むことにした。