「そんなことは気にしなくていい!」神崎大婆様は怒って言った。
「はい、おっしゃる通りです」神崎卓礼は好機を逃さず、今夜の成果は上々で、一気に全てを解決することはできないと分かっていた。
大婆様が道乃漫にチャンスを与えることを承諾してくれさえすれば、きっと大婆様は道乃漫のことを気に入るはずだと確信していた。
彼は道乃漫にそれほどの自信があった。
神崎大婆様は彼を横目で睨んで、「あなた、出て行くんじゃなかったの?」
「今は彼女もいるんですから、どこにも行きませんよ」神崎卓礼は嬉しそうに言った。「高木叔母、ジュースを一杯お願いします」
心が甘くなれば、甘いものも欲しくなるものだろう?
「私はまだ認めていないわよ!」神崎大婆様は険しい顔で言った。
「認めようが認めまいが、僕には彼女がいるんです。もう家に入れないなんて言えませんよ」神崎卓礼は得意げに言った。彼女ができたことで自信に満ち溢れていた。