201 彼の顔に唾を吐く

言い終わると、道乃漫がトイレに入っていくのが見えた。

「私はただトイレに行きたいだけなんだけど、あなたもついてくるの?」道乃漫は立ち止まり、振り返って皮肉を言った。

葉月星はトイレの入り口で足を止め、表情は言いようのないほど悪かった。

道乃漫に騙されたのだ!

道乃漫がすでにトイレに入ってしまい、葉月星は歯ぎしりしながら二回足踏みをし、左右を見回して人がいないことを確認すると、やっと足を踏み鳴らして立ち去った。

道乃漫は再びトイレから出て、こっそりと後をつけた。

葉月星の後ろを追って階段室に行くと、道乃漫は一階上に隠れ、葉月星が角に隠れて電話をかけるのを見た。「あなたが知りたがっていたことは全部話しました。会社で道乃漫の悪口を広めろと言われたことも、全部やりました。残金を振り込んでください。」