218 来年もチャンスがある

「ありがとうございます、橘兄さん、柳田姉さん」高橋勉真は満面の笑みを浮かべながら言った。「今回、現場に行けるチャンスをいただけただけでも、とても満足です。私より優秀な人はたくさんいますから、受賞については本当に期待していません」

受賞はできなかったものの、ノミネートされただけでも素晴らしい経歴になる。

「そんなことを言わないで。あなたは我が社の広報部の人間だよ。うちの部署の人間は、誰一人として独り立ちできない人はいない。社内での競争は激しいかもしれないが、外に出れば、トップクラスの実力だよ」武田立则は笑顔で励ました。

「新人賞のノミネートは?」夏川夢璃は急いで尋ねた。

そう言いながら、道乃漫をちらりと見た。

今回も、まさか道乃漫に行くわけないでしょう!

もしそうなら、絶対に社長に説明を求めなければ!