夏川夢璃は髪をとかしながら、「わからないわ。もしかしたら高木武一監督に気に入られるかもしれないじゃない。多くのスターがそういう経験を持っているでしょう?友達の付き添いでオーディションに行ったら、自分が選ばれたって」
「……」渡邉梨子は口角が引きつった。夏川夢璃の言い方だと、彼女が「友達」ということになるわけだ。
ふん!
「夏川夢璃、冗談はやめてよ」高橋勉真は大笑いした。「鏡で自分の顔を見てみなよ。せいぜい並の容姿じゃないか。監督が一目で気に入るなんて期待してるの?夢見すぎだよ!芸能界にはどれだけ美人がいると思ってるの?整形したって間に合わないよ」
「高橋勉真、あなたに話しかけてないでしょ!余計な口を挟まないで!」夏川夢璃は怒りで顔が歪んだ。男性に不細工だと言われるのが一番我慢できなかった!