262 何の権利があってお前は道乃漫を撮影現場に行かせないのか

「空港に着いたら、撮影クルーと会ったら、電話をちょうだいね。撮影現場に着いて、落ち着いたら、もう一度電話をちょうだい」と夏川清未は心配そうに言い聞かせた。

道乃漫は以前、道乃琪と東奔西走していたけれど、今回は一人での出発なので、夏川清未はとても心配だった。

「はい」道乃漫は笑顔で答え、夏川清未のおせっかいを少しも気にしていない様子で、「離陸前にも電話して、お知らせするわ」と言った。

「ああ!」夏川清未は力強くうなずいた。「身分証明書、財布、銀行カード、全部持ってる?他のものを忘れても大丈夫だけど、これらが一番大事よ。何か足りないものがあっても、向こうで買えるから」

「全部持ってるわ」道乃漫はスーツケースを引きながらドアの前まで来た。「お母さん、私が家にいない間、自分のことをちゃんと気をつけてね。もし夏川清翔か道乃啓元が来ても、ドアを開けないで。どんなにノックされても、無視して。どんなことがあっても、私が帰ってくるまで待って。何か問題があったら、神崎兄に相談して、遠慮しないでね」