「それはわかりませんね。神崎創映が重点的に育成しようとしているのかもしれません」
白泽霜乃は軽蔑的に鼻を鳴らした。「どんなに重点的に育成しても所詮は新人芸能人でしょう。神崎若様が自ら送ってくるほどのことなの?神崎卓礼は高木監督に会いに来ただけで、ついでに彼女を送ってきただけだと思うわ」
「どうあれ、彼女に手を出さない方がいいわよ」余田彦美は注意した。
白泽霜乃は口を尖らせた。「わかってるわよ」
「村上兄、霜乃姉」端役の相泽楽人は声を潜めて言った。「彼女は演技経験が全くないって聞きましたよ。以前は芸能界の人間でもなかったし、演技も習ったことがないそうです」
白泽霜乃はそれを聞いて納得がいかなかった。「なぜよ?素人に演技させるなんて、高木監督は何を考えているのかしら」