最後に笑みを浮かべながら電話を切り、すっかり嬉しくなってしまった。
神崎大婆様:「……」
この次男の嫁は、孫に少し褒められただけで何もかも忘れてしまう、本当に騙されやすい。
「いけない」大婆様は突然立ち上がった。「急いで支度しましょう。明日の朝一番で出発よ」
「そんなに急いで?」あまりにも慌ただしすぎる。
「卓礼が来る前に帰らないと」神崎大婆様は言うが早いか、すでに荷物をまとめ始めていた。「ちょうどいいわ。卓礼が来たとき、私たちはB市に戻っているから、会わなくて済むわ」
「お母様、一日二日は避けられても、ずっと避け続けることはできませんよ」白石诺乃は神崎大婆様が慌ただしく動き回り、あっという間に荷物の大半を片付けてしまうのを見ていた。
「一日でも延ばせるだけ延ばせば、そのうちこの件も過去のことになるわ」と神崎大婆様は言った。