拘置所は刑務所とは違い、人里離れた郊外に建てられているわけではない。
拘置所に入るのは、主に飲酒運転や喧嘩など、重大な罪ではない人たちなので、多くの拘置所は繁華街にある。道乃啓元と夏川清翔がいるこの拘置所もそうだ。
今、通りがかりの人々が多く、夏川清翔の録音を聞いていた。
そして、パパラッチに囲まれている道乃啓元と夏川清翔も目にした。
「どけ!」道乃啓元はようやく包囲を突破し、夏川清翔をパパラッチの群れの中に置き去りにして、怒り心頭で夏川清未との決着をつけに向かった。
しかし、近づく前に瑭子の仲間たちに阻まれ、近寄ることができなかった。
道乃啓元は激怒して夏川清翔を指差し、「何をしているんだ?」
「何って?真実を話しているだけよ!」夏川清未はゆっくりと立ち上がり、ショールを軽く払う仕草は優雅だった。