340 彼に小さな花を一輪

「怖くないわ!」と篠崎寧娴は言った。「人肉検索されてもいいわ!私は嘘をついていないもの!お姉さん、もう止めないで。分かってるわ、私は彼女たちには勝てないけど、でも負けを認めるつもりはないの。」

「分かったわ」と道乃漫は言って、Twitterを閉じた。

篠崎寧娴は不思議に思った。道乃漫はこれ以上説得しないのだろうか?

もしかして、道乃漫も自分と同じように考えているのだろうか?

村上舟翔のような最低なアイドルを経験した後、篠崎寧娴は本当に少し怖くなっていた。

道乃漫は篠崎寧娴の躊躇を知らず、神崎卓礼に「会社に戻れる?」と尋ねた。

「どうしたの?」と神崎卓礼は言いながら、すでに方向を変えて会社へと向かっていた。

道乃漫は事情を神崎卓礼に説明した。「会社の入り口と道路沿いには監視カメラがあるから、戻って確認したいの。あの日の入り口の状況が撮影されているはずよ。」

神崎卓礼は頷き、道乃漫を会社に連れて戻った。

道中、すでに会社の警備部に通知し、さらに真崎景晟に電話をかけて、彼らの会社の入り口前の道路の監視カメラ映像を取り出すよう依頼した。

警備主任は二人の警備員と共に監視室で待機していた。

神崎卓礼と道乃漫が一緒に監視室に現れた時、警備主任と二人の部下は驚いた。

その中の一人は、あの日の昼に道乃漫と共に村上舟翔の態度を目撃した警備員だった。

「社長!」と三人は慌てて呼びかけた。

彼らは何か重大な事件が起きたのかと思った。神崎卓礼まで動かすとは。

「月曜日の午前10時頃の、会社入り口の監視カメラ映像を出してください。」と神崎卓礼は言った。

「村上舟翔の件ですか?」とその時現場にいた警備員が尋ねた。

「そうよ」と道乃漫は頷いた。「覚えているわ、あの日あなたもいたわね。」

「はい、すぐに探しますので、少々お待ちください。」と警備員は言って、映像を探し始めた。

すぐに見つかり、「ここです。」と言った。

監視カメラの映像を出すと、入り口のカメラはちょうどその日の状況を捉えていた。

「コピーを取っておいてください。」と神崎卓礼は言った。

警備員はもちろん止めなかった。

道乃漫は携帯をポータブルハードディスクとして使い、監視カメラの映像を携帯にコピーした。

その時、監視室のドアをノックする音が聞こえた。