362 道乃漫の背後の人

元々は白泽霜乃のメイクをもっと丁寧にしようと思っていたが、メイクさんも今では気が立っていて、適当にやってしまおうと決めた。

「出発まであとどのくらい?」と白泽霜乃が尋ねた。

梨沙は携帯を見て、「あと一時間半です」と答えた。

「こっちに来て」白泽霜乃は梨沙に手招きした。

梨沙が近づくと、白泽霜乃はメイクさんに手を振って、「ちょっと外に出ていてください」と言った。

メイクさんは今では落ち着いていた。白泽霜乃のような頭の悪い人に腹を立てるのは、自分の品格を下げるようなものだと思った。

そこでメイクさんは二つ返事で二人の助手を連れて部屋を出て、廊下で待つことにした。

「霜乃姉、何かご用でしょうか?」梨沙は取り入るように小声で尋ねた。

「道乃漫の部屋に行って、詩川雅乃かどうか確認してきて。もちろん、これが主な目的じゃないわ。ついでよ」と白泽霜乃は言った。