376 私のことが恋しくないの?

むしろ道乃漫は恥ずかしくて仕方がなく、神崎卓礼が喜色満面な様子を見て、思わず神崎卓礼の腰をこっそりつねって、もう少し控えめにするように注意した。

神崎卓礼も避けずに、そのままつねられたが、道乃漫が慌てた時の力加減が意外と強く、神崎卓礼は思わず口角をゆがめてしまった。

道乃漫をじっと見つめながら、二人きりになった時のお仕置きを心に決めた。

夏川清未は二人の些細な動きを見逃さず、笑いながら追い払うように言った。「もう行きなさいよ。私を送ってくれたんだから、もう心配しなくていいわ」

道乃漫が断るのを恐れた神崎卓礼は、急いで道乃漫の手を掴み、夏川清未に言った。「じゃあ、私たちは先に失礼します」

「どうぞ、どうぞ」夏川清未は笑顔で二人を見送った。

神崎卓礼は道乃漫の手を引いて外に出た。階段を下りながら、道乃漫は彼に言い聞かせた。「帰ってきたばかりで休む暇もないでしょう。時差ボケも治ってないのに、早く帰って休んだ方がいいわ」