409 新年の挨拶に来る

道乃漫は会社で、同僚たちからの祝福を受けていた。

実家が遠方にあるため、数日前に休暇を取って帰省していた同僚でさえ、わざわざ電話をかけたり、WeChatでメッセージを送ったりして祝福してくれた。

夜、仕事が終わると、神崎卓礼が道乃漫を家まで送った。

車が道乃漫家の前に停まると、神崎卓礼は言った。「大爺様と大婆様が聞いてるんだけど、旧正月三日目に時間があれば、一緒に実家に来ないか。」

「いいわよ。」道乃漫は笑顔で頷いた。

以前なら緊張していたかもしれないが、早くに大婆様と白石诺乃に会った後は、道乃漫はもうそれほど緊張しなくなっていた。

神崎卓礼は身を乗り出して道乃漫にキスをした。「明日、新年の挨拶に来るよ。」

「うん。」

道乃漫は車から降り、神崎卓礼に手を振ってから、建物に入った。

神崎卓礼は道乃漫の姿が見えなくなるまで待ってから、車を発進させた。

道乃漫が家に帰ると、夏川清未は大晦日の夕食の準備をしていた。

今年の旧正月は家には二人だけだったが、道乃漫は少しも寂しいとは感じなかった。

たった二人でも、大家族よりも温かい雰囲気があった。

道乃漫が入ってくるとすぐに、料理の香りが漂ってきた。

「ママ、今夜は何を作ったの？」道乃漫は服も着替えず、玄関で靴を脱いだだけでキッチンに入った。

「前に煮込んだ煮込み料理の他に、鶏の丸焼きと、油をかけた魚料理、それに大きな蟹を二匹蒸したわ。あとは冷菜よ。」夏川清未は笑顔で説明した。

「こんなにたくさん、私たち二人で食べきれるの？」道乃漫が鶏肉に手を伸ばそうとしたところ、夏川清未に手の甲を叩かれた。

「まだ手を洗ってないでしょ、洗ってから食べなさい。」夏川清未は言った。「煮込み料理は残しておけるし、他のものは食べきれなければそれでいいわ。今日は大晦日だし、あなたの映画の興行収入もこんなに高くて、国内映画史上興行収入第一位の作品になったんだから、ちゃんとお祝いしないと。」

神崎卓礼が道乃漫の入学手続きを済ませてくれたとはいえ、道乃漫は他の学生のように順当に演劇学院に入学したわけではなかった。

さらに、道乃漫は大学一年生の後期から入学したため、同級生よりも年上で、少し馴染めない感じがあり、正式な学生という感じではなかった。