428 成事不足、败事有余

「柳田主任は少し短気なところがありますね。まずは手を離してください。」

他にも止めるどころか、火に油を注ぐように非難する人もいた。「あなたたちは度が過ぎています！何を騒いでいるんですか！柳田主任は生徒を教育しているだけです。どうして手を出すんですか？先生が生徒を教育する言葉が気に入らないからといって、殴られなければならないのですか？」

「何をしているんだ！」橘校長が入ってくるなり、数人の教師が揉み合っているのを目にした。

その中央に神崎卓礼が立っているのを見て、肝が震えた。

「みんな手を止めなさい！」橘校長が怒鳴った。

他の教師たちは慌てて手を止めた。

神崎卓礼は柳田主任の手を放し、ハンカチを取り出して嫌そうに手のひらを拭いた。

柳田主任は人差し指を押さえ、痛みで悲鳴を上げていた。

神崎卓礼のその仕草を見て、怒りで脳溢血を起こしそうになった。

手を伸ばして神崎卓礼を指差そうとしたが、右手の指の惨状を思い出し、すぐに引っ込めた。

「校長！」柳田主任は直接叫び、床から立ち上がった。「こんな生徒は、我が校では受け入れられません！度が過ぎています！」

橘校長は柳田主任を恨めしそうに見た。本当に役立たずで、失敗ばかりだ！

柳田主任を相手にする余裕もなく、橘校長はもはや自分の品位や校長としての威厳を保つことも忘れ、急いで神崎卓礼の前に駆け寄った。

「神崎若様」橘校長は急いで呼びかけた。「直接いらっしゃったのに、なぜ一言おっしゃってくださらなかったのですか？」

「彼女を入学手続きに連れてきて、ついでに教科書を受け取りに来ただけだ」神崎卓礼は冷たい声で言った。顔は鍋底のように真っ黒だった。「簡単なことだと思っていた。手続きを済ませて帰るつもりだったが、まさかこんな輩に出くわすとは。本当に目を見開かされたよ。今日は私が一緒に来たからいいものの、彼女が一人で来ていたら、どれほどの屈辱を受けていたことか？」

「一体何があったんだ！」橘校長は厳しい目で柳田主任を見て問いただした。