426 こいつ誰に向かって態度悪いんだ!

神崎卓風を見かけると、皆が一斉に振り向いた。

神崎卓風は学校の風雲児とも言える存在で、演劇学院の公認イケメンであり、家柄も謎に包まれていた。

神崎卓風の家がどんな背景を持っているのか誰も知らなかったが、彼の家がとても裕福であることは確かだった。

神崎卓風は決して何かを見せびらかすことはなかったが、幼い頃から若様として育ち、何気ない仕草の中にも多くの違いが自然と表れていた。

そのため、神崎卓風は学校でとても人気があり、多くの女子から追いかけられていたが、彼は誰一人として気に入る相手がいなかった。

今、クラスメイトたちは神崎卓風の隣にいる神崎卓礼を見て、その威厳も容姿も卓風を上回っていることに気づいた。神崎卓風は神崎卓礼と比べられると、たちまち普段の輝きを失い、まるで普通の人のように見えてしまった。

卓礼の顔に見覚えがある人もいたが、テレビで見るのと実物では違いがあるため、誰も彼を認識することができなかった。

ただ神崎卓礼があまりにも際立っていたため、彼がキャンパスに入ると、天地が光を失い、彼だけが輝いているように見えた。

学生たちは、神崎卓風のような風雲児や、神崎卓礼のような眩しい男性と一緒に歩いている道乃漫が一体誰なのか、好奇心を抱かずにはいられなかった。

しかし、よく見る前に、彼らはすでに建物の中に消えていた。

三人は演技学科の事務室に向かった。道乃漫は入学手続きをし、教科書などを受け取る必要があった。

「柳田主任、こんにちは。私は道乃漫です。報告に来ました」

「知っているよ」柳田主任は不機嫌な顔で、彼女に一枚の用紙を渡した。「これに記入して、それからクラス担任のところへ行って教科書を受け取りなさい」

神崎卓礼は眉をひそめた。この女、誰に対して態度を取っているんだ!

道乃漫はこの柳田主任が何に腹を立てているのか分からなかった。会ったこともないのに敵意を持たれている。

彼女は神崎卓礼に頭を振って、怒らないように伝え、自分でペンを取って身を屈めて用紙に記入し始めた。そのとき、柳田主任が言った。「あなたが誰の縁故で転入してきたのかは知らないけど、入学したからには、きちんと勉強して、まじめに学生として振る舞いなさい。変な風潮をキャンパスに持ち込まないでほしい」