476 校長を探す

担任教員は不思議に思った。道乃漫がどうしてこんなに平静でいられるのか？

彼女の映画撮影のチャンスを台無しにしたというのに！

彼女は本当にこんなに冷静に受け入れられるのか？

なぜか、道乃漫のこの反応を見ると、担任教員は心の中で落ち着かない気持ちになり、道乃漫がまだ何か策を持っているように感じた。

この感覚は本当に奇妙だった。道乃漫はただの普通の学生なのに、彼女にどんな策があるというのか？

道乃漫は矢尾先生の方を向いて言った。「矢尾先生、私のために話してくださってありがとうございます。申し訳ありません、先生の気持ちに応えられなくて。」

矢尾先生が助け舟を出してくれたおかげで、本来なら軽く謝るだけで休暇を取ることができたはずだった。

しかし彼女は何も間違ったことをしていないので、謝りたくなかった。だからこうなってしまったのだ。

でもどうあれ、矢尾先生は彼女を助けようとしてくれた。それは忘れないでおこう。

矢尾先生は一瞬戸惑い、苦笑いしながら首を振った。

実際、彼女も道乃漫を助けることはできなかった。

道乃漫は事務室を出ると、直接校長室へ向かった。

校長秘書は道乃漫を見ると、笑顔で声をかけた。「道乃漫さん、校長先生にお会いになりますか？」

「はい、校長先生にちょっとお願いしたいことがあるんです。今いらっしゃいますか？」と道乃漫は尋ねた。

「いらっしゃいますよ」柳田秘書は言って、立ち上がってドアのところへ行き、三回ノックしてから開けた。「柳澤校長、道乃漫さんがお会いしたいそうです」

柳澤校長はそれを聞くと、すぐに歩み寄ってきた。「道乃漫が来たのか？どうぞ、どうぞ入りなさい」

道乃漫が入ると、校長は言った。「小柳、お茶を二杯持ってきてくれ」

「ご面倒でなければ、ほんの二言だけの用件です」と道乃漫は急いで言った。

「いや、構わないよ」柳澤校長は笑いながら言い、柳田秘書に準備するよう指示した。

柳田秘書が出て行くと、柳澤校長はようやく尋ねた。「何か用事かな？」

「はい、実は木村成真先生の新しい映画『赤虎』の撮影に参加することになり、高橋先生に休暇の許可をお願いしに行ったんです。でも高橋先生はどうしても許可してくれず、学校の規則で1年生と2年生は外部の撮影に参加できないと言われました。だから校長先生にお力添えをお願いしに来ました」