こんなに良い成績を取った生徒が自分のクラスの生徒ではないなんて、残念!
いや、きっと採点ミスだ。小学校の試験じゃないんだから、満点の答案が白菜のように出るわけがない。しかも複数の科目で。どこか見落としがあるはずだ。採点者が疲れて目が回っているに違いない。
そこで、何人もの採点担当の先生たちは、悔しい思いを胸に秘めながら、橋本奈奈のすべての答案用紙を前後何度も確認した。虫眼鏡と顕微鏡まで持ち出さんばかりだった。
だから、奈奈の点数は他の生徒の点数よりもさらに厳密で正確なものとなった。
理系の答えは融通が利かないから、確認することもそれほどない。結局、奈奈が使用した数少ない句読点も、一つも間違いがなく、一つも欠けていなかった。
国語に関しては、橋本奈奈の答案を見なければまだよかったのに。見てしまった文系の先生たちは、血を吐きそうなほど腹を立てた。
2点減点された答案と比べると、この答案が満点だったほうがまだましだと思えた。
他でもない。奈奈の作文は稀に見る満点作文で、これは誰も減点のしようがなかった。しかし、奈奈の答案用紙で唯一間違えたのが、暗記の部分だったのだ。年配の先生たちがこの状況を見て、胸に詰まった老いた血を、飲み込むことも吐き出すこともできず、窒息しそうになった。
このような驚異的な成績を出した橋本奈奈に対して、今年の採点担当の先生たちは愛憎半ばする思いだった。こんな優秀な生徒が自分のクラスの生徒でないことを残念に思う一方で、奈奈を引っ張り出して一発お見舞いしたい気持ちもあった。なぜ単純暗記の部分で減点されてしまったのか、なぜ減点されてしまったのか!!!
「奈奈さん、すごいじゃないか」爆竹を鳴らし終わって、白洲隆は手についた埃を払いながら言った。「今年うちの学校では、君が一番の話題になるだろうね。こんなに良い成績を取ったんだから、学校も表彰するはずだよ。」
奈奈さんのこの成績なら、これから平泉中学校に進学しても奨学金をずっともらえる可能性が高いな。