第246章 沈黙な性格

「多くの親が子供を高校でしっかり勉強させるために、通学時間を無駄にしないように、また勉強に集中できるように、学校の近くに部屋を借りているということを知っていたから、人に頼んで探してもらったんだ。二年半後では見つけにくくなるかもしれないから、高校一年生の時から借り始めることにした。お父さんは、お金はかかるけど、早めに準備した方がいいって言ってたよ。それに、学区内の物件を借りるのは本当に難しいからね。今から探し始めても、いつ借りられるかわからないしね。」

「橋本さん親子の運が良かったんだよ。この部屋は平泉高校の二年生が突然転校することになって空いたんだから。」

吉田さんの話を聞いて、橋本奈奈は黙り込んだ。

彼女はずっと、平泉高校に通うことについて、たとえお父さんが彼女の思いやりを理解していても、せいぜいそれくらいだと思っていた。でも、まさか父親が彼女のことをこれほど考え、平泉高校に通わせることに対してこれほど申し訳なく思っているとは夢にも思わなかった。

少なくとも橋本絵里子が高校に通っていた時は、父親はこれほど気を遣わなかった。

学区内の部屋を三年間借りるとなると、90年代末の物価が安かったとはいえ、決して少ない金額ではない。この三年分の家賃にもう少し足せば、21世紀初頭に不動産を一軒買えたかもしれないほどだ。

父は彼女と橋本絵里子を公平に扱うと言っていたが、それは単なる言葉だけではなく、本当にそうしようと努力していたのだ。

橋本奈奈は、付属高校に通う橋本絵里子のために使った十万円の件はもう過ぎ去ったことだと思っていたが、この賃貸物件を見て初めて、実は橋本東祐がずっとそのことを覚えていたのだと理解した。

「吉田おじさん、安心して。お父さんが私に良くしてくれているのは分かってます。お父さんはお母さんとは違うんです。」橋本奈奈は晴れやかな表情で吉田さんに笑いかけた。朝のひどい出来事があったにもかかわらず、橋本奈奈の気持ちは一気に明るくなった。「吉田おじさん、本当にこれらのことを教えてくれてありがとうございます。お父さんは実は無口な人で、やったことを私に言わないんです。」

自分の性格が誰に似ているのか、やっぱり父親に似ているんだと分かった。