第286話 早く110番を

「それに今、生徒たちは授業中です。保護者の方、お帰りください。お嬢さんの勉強の邪魔をしたくないでしょう?本校では、教職員と生徒以外の方の校内への立ち入りは禁止されています。ですので、保護者の方はお帰りください。何かございましたら、お嬢さんが下校してからお話しください。今日は木曜日ですし、明日は休校です。」

校長がそう言った以上、門衛は当然伊藤佳代に門を開けて校内に入れることはできなかった。

前回伊藤佳代を校内に入れた件について、校長は責任追及こそしなかったものの、既に門衛たちに口頭で警告していた。誰でも入れてはいけないと。

保護者会でも、子供の父親が既に来ているのに、後から母親が来るなんてことはない。平泉高校の保護者会は、いつも保護者一人だけを呼ぶのが慣例で、二人とも来る必要はないのだ!