第344章 義理の父と婿は同じ心(加更)

橋本奈奈が斎藤昇の側に立つと、橋本東祐は言葉を失ってしまった。

娘が斎藤昇の隣に立つのを見て、橋本東祐は口角を引き、なんとか表情を取り繕おうとしながら、強引に奈奈を自分の側に引き寄せた。「奈奈、これらの物が君の体にいいというなら、もらっておこう。斎藤昇、うちの奈奈のことを考えてくれてありがとう」

橋本東祐の声に疑いと試すような調子を感じ取り、斎藤昇は半分本気半分冗談で言った。「これは母が持ってくるように言ったんです」

「お前の母が?」橋本東祐は疑わしげに斎藤昇を見つめた。奈奈は司令官夫人とは面識がないはずだ。たった一度会っただけで、しかもその時の経験は決して楽しいものではなかった。司令官夫人が奈奈のことを覚えているとしても、伊藤佳代と絵里子の関係を考えれば、奈奈への印象が良いはずがない。