でも、なぜお父さんは奈奈さんを見るたびに、優しく接するのに、自分には厳しいのだろう?
奈奈さんを妹のように思っているからいいものの、もし他人、例えば大野宏のような人が父の息子だったら、この状況を見て、きっと父を憎むだろう。
ああ、自分は運が悪くて父の息子になってしまった。他の人なら、誰も耐えられないだろう。
「ハハハ」橋本東祐は笑った。白洲隆が冗談を言っているのがわかった。一年以上前は、白洲成木に会っても「お父さん」と呼ぶのも面倒くさがっていたのに、今では父とこんな冗談も言えるようになって、父子の絆が深まったようだ。
これは全て奈奈のおかげだと思うと、橋本東祐は誇らしく感じ、まるで自分のことのように喜ばしく思った。
「橋本おじさんは確かにお父さんを外に閉め出したいんですよ。お父さんが来るたびに奈奈にプレゼントを持ってくるから、このままだと橋本おじさんは自分の娘が父に連れ去られるんじゃないかと心配になるでしょうね」と言いながら、橋本東祐はため息をついた。