第404章 まさか人違いだったのか(五一加更)

「実は私が西湖龍井茶を好きになったのは、すべて斎藤おじさんの影響なんです。急にこんな話をして申し訳ありません。きっとつまらないと思われるでしょう。斎藤おじさんという人はそういう人で、誰かを好きになると、何でもその人と話したがるんです。もちろん、二人に共通の趣味や基盤がないと、話も続きませんけどね。斎藤おじさんがもし、お茶について少しも知らない、良いお茶を飲んだこともない人と話すとしたら、何を話せばいいというのでしょう」

橋本奈奈は髪をなでつけながら、岡本茜の言葉に含まれる敵意の強さを感じ取った。どうやら岡本茜は何か風の噂を聞いたようだ。「岡本さん、その言葉はどこかで聞いたことがあるわ。確か、野村おばさんが初めて私の家に来たときも、うちにはろくなお茶がないって文句を言ってたわ。でも、その後は毎回、私がお湯を出すと、野村おばさんはとても丁寧に飲んでくれたわ。さすが司令官夫人ね、口では厳しいことを言っても、実際はとても良い人で、人を困らせるようなことは一度もしなかったわ」