第402章 斎藤昇の伏線

林康弘のことを思うと、橋本奈奈は目を白黒させた。家族の中で誰一人として、彼女が文系か理系のクラスを選ぶことに干渉する人はおらず、皆が彼女の考えや意見を尊重していた。

白洲隆が最も過激にしたことといえば、自分の志望を変更して、彼女に付き添って理系から文系のクラスに変わろうとしただけだった。

ただ一人、まだ一年しか師弟関係のない師匠だけが、直接橋本奈奈に電話をかけ、文系クラスを選ばなければならないと告げた。

「じゃあ白洲隆は?」

「理系クラスに追いやったわ」橋本奈奈は無奈に言った。「ちょっと待って、斎藤お兄さん、あなたはそんなに伏線を張っておいて、実際に一番聞きたかったのはこのことでしょ?」

一瞬で、橋本奈奈の心は完全にバランスを取り戻した。

彼女は斎藤お兄さんの側に岡本茜がいることを心配していたが、斎藤お兄さんは白洲隆が彼女の側にいることについて、常に口を閉ざしていた。