「うちの家では、岡本茜が一番良い年頃を、斎藤昇を待つことに全て費やして、歳月を無駄にするわけにはいかない。そんなことをするのは、あまりにも不誠実だ」
「……」岡本勉は少し黙り込み、何も言わなかった。しばらく考えてから言った。「では、斎藤司令官のご意向は?」
「元々は両家の冗談のような話で、何の手続きも踏んでいないし、広く知らせてもいない。そうであれば、以前の冗談を黒板の字のように、消してしまおう。そうそう、君たちの部隊で最近、昇進や異動があると聞いたが?ある地位があって、今の君の地位より低く聞こえるが、君が真面目に働けば、その地位はむしろ君にもっと多くのものをもたらすだろう。どう思う?」
「ありがとうございます、斎藤司令官!」岡本勉の目が輝いた。斎藤輝彦が言及したその地位について、岡本勉は知っていた。そして彼はずっとそれを狙っていた。