060 物真似上手、賀川さんの扉を叩く(2話)

鐘见寧が目を覚ますと、車はサービスエリアに停まっており、車内には彼女と賀川礼の二人だけだった。彼は膝の上に英語の資料を置き、ペンを握って印をつけていた。

そして彼女は……

いつの間にか彼にもたれかかって眠っていた。

「いつ寝ちゃったんだろう?」鐘见寧は背筋を伸ばした。ずっと横向きで寝ていたため、首が少し凝っていた。

「高速に乗ってすぐだよ」

「そんなに長く寝てないよね?」

「そうでもない、3時間くらいかな」

「……」

鐘见寧は唇を噛んで、恥ずかしさを感じながら、車を降りてトイレに行った。戻ってきてからは、ずっと下を向いてスマホをいじっていた。

ふと、鐘見月のSNSを見かけた。

高級レストランを背景に、グラスを持ち、綺麗なメイクをした彼女は、とてもお洒落で雰囲気のある写真だった。ただ、彼女の顔は大きく変わっていた。