木村海は最近悩みが多く、時々上の空になってしまい、周りで起きている異変に気付かないほどで、鐘见寧にまでその様子を察知されてしまった。
「最近ちゃんと休めてないの?」
「そうじゃない」
「従姉妹にまた何か頼まれたの?」
鐘见寧は、江口晗奈が時々彼に仕事を頼むことを知っていた。
木村海はただ淡く微笑むだけだった。
江口晗奈と樱庭司真のことは、現在木村海と掃除のおばさんしか知らなかった。
彼女が何かをしようとする時、木村海が婉曲に断ると、江口晗奈は笑って言った:「木村海……」
「私たち仲間じゃない?」
「同じ船に乗ってる者同士なのに、私を断るの?」
木村海は気が狂いそうだった。
誰があなたの仲間なんかになりたいものか。
ただ最初に旦那様に報告しなかったことで、時間が経てば経つほど、言い出せなくなっていった。今は従姉妹がこの男に飽きて、嫌になって、厭きて、二人が自然に別れることを願うばかりだった。