盛山若社長は眉をひそめた。「小さい金メダルは?」
「私が外しました」
金だったので、見逃すわけにはいかなかった。
「今どこにあるの?」
「とっくに他の金と一緒に、リサイクルショップで溶かしてしまいました」高橋院長は後ろめたそうに言った。「あなたは彼女とどういう関係なの?」
「それはあなたが気にすることではない。メダルに何が書いてあったか覚えていますか?」
「片面は模様で、もう片面は確か寧だったと思います」
鐘见寧の孤児院での愛称は、寧ちゃんだった。
名前もここから来ている。
鐘見家に来てから、鐘見肇夫妻はこの愛称をもとに、寧という名前をつけた。
高橋院長は、目の前の男性の表情が目まぐるしく変化するのに気づいた。一瞬厳しい表情になったかと思えば、次の瞬間には笑みを浮かべそうになる。このような表情は彼女にとって見覚えがあった。